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元少年Aとメールで対決した

日記

ある日の深夜。仕事で疲れ果てて泥のようになっていた僕は、ネットである話題を目にした。

1997年に神戸連続児童殺傷事件を起こした元少年Aが、本を出版したらしい。

 

 

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タイトルは「絶歌」。事件当時の様子を赤裸裸に書き綴った自叙伝だという。

なんともアングラな内容だろうか、とSNSを見てみればその反応たるや凄まじいものだった。大半が批判的な物で、レビューを読んでみても「気持ち悪い」と答えている人が9割を占めていた。

 

「……読んでみるか」

 

不謹慎ながら、あれほど黒歴史としか言いようのない事件を起こした人間の思考回路を覗いてみたいという気持ちがあった。しかしながら元犯罪者に印税が入るのは些か気分が悪いため、最初から最後まで本屋で立ち読みすることにした。会社の少ない休憩時間を使って、僕は絶歌を読んでみる。

 

……うわぁ、こりゃひでぇ。

 

正直オラオラ系高校生の前略プロフィールでも見ているほうが恥ずかしくないほどの内容で、正直読む事自体を苦行と言わざるを得ない内容だった。なんだあれ? 一言でまとめたら頭がお花畑の犯罪者がキチガ○行為をして愉悦に浸っている事をだらだら書き綴っているだけのような内容だった。一応被害者家族に対する配慮を含めた文面もあったけど、8割が言い訳に近い表現や被害者を侮辱するような内容のオンパレード。正直これほど読んでいて気分が悪い本は無かったですわ。

 

クレームを言うことにした。しかし何処に? 出版社に送ったところで編集部のオッサンが静かに僕の手紙をシュレッダーにかけるだけになることは目に見えている。この地獄みたいな感想を書いた本人に伝えたい。なんとしても伝えたい。僕は元少年Aのホームページにアクセスしてみることにした。

 

 

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あった。

「ご意見、ご感想」を待っているということは、この僕の心の中にあるドロドロした感想を豪速球ストレートボールで送りつけてもいいんだよね?

僕は以下のメールを送りつけた。

 

 

「はじめまして。シラタマと申します。貴殿の絶歌を拝読させていただきました。

挨拶を抜きに感想を先に述べればあまりにも酷いものでした。あなたは施設で何を学んだのかと施設の人間とあなたに問いつめたい所存です。

あの本を出版された意図は何だったのか本当にわかりかねます。法的には既に罪を償ったあなたにこのような事を言うのは不躾が過ぎるかもしれませんが、一つの感想としてご了承いただけたら幸いです。本当に酷い内容でした。自己陶酔が過ぎて周りが見えていないのでしょうか?

自分が反社会的な人間であるご自覚はあるようですが、罪を犯した挙げ句それを語り草に本を出版されるような人間は反社会どころか生命体として終わっています。意味も無く生命を殺めるような生き物は人間以下の動物とでも言いましょうか。家畜以下の存在だと私は思います(あくまで私個人の感想と主観です)。

懺悔の念があったとしてもあなたが思っている以上に世界は慈悲深くありません。あなたが犯した罪を許すのはあなたと同じレベルの人間のみです。一度しか無い人生を、あなたは一瞬の子供じみた快楽で棒に振ったのだな、とも思える内容でした。反面教師には良いかもしれません。僕は何度生まれ変わってもあなたのようになりたくないという決意が強くなりました。その点に関してはありがとうございます」

 

 

やっちまった。

 

 

というか、書いていて気づいたけどこれって問い合わせのメールがめちゃくちゃ来ているだろうからこんな長文読まないんじゃないだろうか。しまった、時間を無駄にした。僕は送信ボタンを押した後にノートパソコンを閉じて、眠りに就いた。

 

そんな事も忘れかけていた数週間後。変化が起こった。

 

いつも通り帰宅してノートパソコンを開き、メールボックスを見てみると個人のメールアドレスからメールが来ていたのである。「また未亡人とセックスしたらお金貰える系のメールか?」と思いながらメールを開くと、本文にはこう記されていた。

 

 

 

 

 

「メールありがとうございます。元少年Aです。

あなたの感想はありがたく読ませていただきました。

ありがとうございました。」

 

 

 

 

 

えっ?

すごく間抜けな声が出た。何度見もした。じわっと手汗が染み込んできて、手足の温度が少しずつ冷めていくのを感じた。

タバコに火をつけて、気分を落ち着かせる。待て待て。これ本当にあの元少年Aか? 偽物じゃないか? でも偽物が、僕がメールを送ったことを知ってるわけないもんな。っていうかメールアドレス、送信したアドレスと同じだわ。OKわかった。これガチだ。

頭の中の整理が終わると同時に、文面を読み返してある点に気づいた。俺が送ったメールの内容に一切具体的に触れてない。 つまりこれはメールを送ってきた人間だけに返したコピペの可能性が高い、と踏んだのだ。

 

「あんだけの長文を送ったのに読んでないの?」とメンヘラみたいな事を思いながら、僕はある行動に出た。その返信メールに返信したのだ。

 

「ご多忙の中の返信、ありがとうございます。

しかしながらあまりにも無機質な返信で肩透かしを食らった気持ちは否めません。

本当に僕のメールを読みましたか? まさか自分は好き勝手に本を書いておきながら、他人の文章には一切目を通されないような大人にあなたがなってしまったとは思いたくはないのですが。

誠に恐れ入りますが、以前にお送りしたメールを真剣に読んでください。よろしくお願いします。」

 

僕の性格の悪さがにじみ出る文章で、読み返したくもないのでさっさと送信した。きっと元少年Aがこれを読む事は無いだろう。

 

そう僕は思っていた矢先、数分で返信が来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何に答えてほしいんですか」

 

 

 

 

これだけ。

 

 

 

怖すぎない!? 全身の毛穴が、ブワッてしたよ!! 髪の毛とかもジブリみたいにブワッてなったよ!!

だって僕が今メールを送っている相手ってガチもんのアレだよ!? マジで関わっちゃいけない類いの人間だよ!?

 

しかし疑問系でメールが来たということは返さなければいけないという日頃の社畜精神に火がついてしまったために、僕は以下のように返信した。

 

「質問ではなく、あなたの本を読んだ感想をお送りしたので反応が欲しいのですが。

ハッキリ言って最初は批判的な内容でメールをお送りしましたが、仮にあなたが絶歌にも記していない一面があって、同情の余地が数ミリでもあれば僕の考え方も変わります。僕は単純に真実が知りたいだけです」

 

 

 

 

 

あーもう駄目だ。死んだわ俺。もうそれが真実だわ。

考えてみりゃなんで更生施設に入った人にあんなメールを送ったんだろう。普通に「つまんなかった」で終わっていつも通り暮らせば良かった。読者の皆様すみません。次、僕が皆様にお会いできるのは新聞のお悔やみ欄ですわ。

 

そしてね、返信が早いんだよね。元少年A。もう返信来たよ。手が震えるわ。暇なのかコイツ?

 

 

 

 

 

真実なんてどこにも存在し得ません。

 

 

 

 

 

 

 

 

は?

 

すみません。僕に学が無いからでしょうか。言ってる意味が全くわかりません。

逆にこれだけの単文でこれほど僕の頭上にクエスチョンマークを浮かべたらもはや魔法ですわ。きっともうあれだ。僕とこの人は見ている世界が違うんだ。僕は少しだけ冷静になれて、次のように返信した。

 

 

 

 

あなたが法を犯して捕まったのは真実でしょう。

ただ現実から目を背けているだけじゃないですか。

 

 

 

なにしてんの?

なにしてんの僕?

 

 

送信ボタン押した後に我に返ったよね。マジで何してんだ僕。

つい感情的になってしまい、本音をぶつけてしまいました。はいやっちまったー。amazonで練炭でも買ってくるわ。そんで一酸化炭素が充満した部屋で僕が「戦争反対」とか言う動画をYOUTUBEにあげて世界平和に貢献して死ぬわ。

そんなことを考えていると、返信が来た。

 

 

 

 

目を反らしていないから私は絶歌を書いたのですが。

 

 

 

 

 

……すげぇ。一瞬正論に見えたけどこの人全然関係無い話を持ってきてるだけだ。

感覚が麻痺してきたのか、僕が返信するスピードもあがってきた。

 

 

 

 

あれはただの過ぎた自己陶酔です。本当に現実と向き合っている人間ならば罪の重さを自覚して慎ましく生きるのが理想だと思うのですが? 正直あの内容を見てその返信を見ても劇場型のバカにしか見えないんですよ。自己顕示欲と自己陶酔を捻られてるだけです。遺族の方を刺激するような事を行っているあなたは施設から出てもなお少年のままじゃないですか。なぜ真面目に働いて静かに暮らす事ができないんですか? 働くことができないんですか? 印税で暮らそうとお考えになられたのか知りませんが、あれじゃあなたが18年の時を経て何も成長していないのを露呈しているのと変わらないと思うんですよ。自分の異常性を自覚されるのは結構ですが、それで開き直るなんてバカでもできることじゃないですか。そうやって死ぬまで生きていくんですか? もうこれが質問でいいです。答えてください。あなたはそうやって誰にも評価されないことをし続けて死ぬまで生きていくんですか?

 

 

もう、ここまで来たらね。思った事を全部ぶつけるよね。

あとは静かに彼からの返信を待ちます。どんな内容でも受け入れます。むしろここまでメールでやり取りができるとは思っていなかったので、自分が本を読んだ感想を彼に直接ぶつけることができただけよしとしますわ。

 

 

そして、返信が来た。

 

 

 

無益な遣り取りはもうしたくありません。

そこまでご不快に思われるなら私のホームページを始めとした創作物を見ていただかなくっても結構です。

 

 

 

答えろや!!!

何に答えればいいのか聞いておきながら答えないのかよ!! イエスかノーかだけ答えればいい話だろうが!!!

 

これ以降、彼からの返信は無かった。

まさか今回、世間を騒がせている彼と直接的にコンタクトを取ることはできなかったけど、一石を投じることができました。質問に答えず逃げた彼との対決は便宜的に言えば勝ち……なのでしょうか。

どうやら彼は有料のブロマガでまた金を稼ごうとしているようなのですが、彼を止めない限り社会的な勝ちはありえないんでしょうね。

 

しかしながらこれ以上関わってもろくなことが無いと思うから、これにておしまい。